選手や監督によって、文字通り0.5(ハーフ)シーズン、秋から始まる来シーズンと合わせて1.5シーズンと言い方がわかれるのが、少し気になるこの百年構想リーグは昇降格がない。
そういったレギュレーションも相まって、多くの監督が若手の育成や、戦術の落とし込みにプライオリティをおきそうなこの半年。
選手目線で見れば、中堅からベテランにとっては少し苦しい時間になりそうだ。
ローン加入組は使われ方を見れば、水面下で決まっているであろう来季の所属チームも、なんとなく透けて見えてくる。
真の評価は秋から始まる新シーズンで。
そんな雰囲気も漂う開幕戦。WEST-Aグループに振り分けられたカターレは、大雪の富山を離れて高知をベースキャンプ地に。そして、その高知をホームとする、高知ユナイテッドSCと戦いました。
結果は1-3で敗退。
いろいろな媒体で「攻撃の練習に、ほとんどの時間を割いています」というロマン派(?)の安達監督の言葉を信じ、この試合は攻撃面、特にゾーン1のビルドアップを見ていこうと思います(ゾーン2・3は…チームとして見るところが少ないのは内緒。)
- スタッツ
1試合を通した数字はこちら。
試合終了
— カターレ富山 (@katallertoyama) February 8, 2026
🏆明治安田J2・J3百年構想リーグ 第1節#高知ユナイテッドSC 3-1 #カターレ富山
45+2分 #亀田歩夢#百年構想リーグ #Jリーグ pic.twitter.com/Kg7j5z2G66
これだけ見るとボールを持ちながらも攻めあぐねて、シュートまでたどり着けない。
対する高知は効率よく攻めて、シュートを打てている、得点を重ねているという印象になるがはたして。
- 配置

原田岳:GK4人体制の中、唯一ローン加入。富山で雪体制を得て、コンサドーレ札幌へ移籍した田川知樹の亡霊と戦うことになる今季のGK陣。
竹内豊:高さは浪漫。成長期待枠。
岡本將成:即戦力の県内出身選手として力を見せ、サガン鳥栖へ旅立った新婚、神山京右の存在を忘れさせてくれるのか。
深澤壯太:昨シーズンの成長を考えれば納得の選出。
DFラインからの配給が戦術的に大事となると、今瀬淳也はポジションを確立するだろうと思いつつも、なんとなくいつもシーズン序盤は外されがちなイメージの33歳。我慢のシーズンになってしまうか。
布施谷翔:借りパク成功完全移籍加入&副キャプテン就任のイケメン。点をとった試合は全試合勝利らしい。
安光将作:ローンで帰ってきた、日本代表チャレンジ中のサイドプレーヤー。慣れ親しんだ地から再出発。
2人ともウイングバックが適性かと言われると疑問なのが正直なところ。ただ小田切前監督(現:レノファ山口FC)下で活躍したサイドプレーヤーはウイング適性の選手が多いということで、このポジションで攻守ともに最も活躍が期待できる2人が順当に選出。安光はかつての輝きを取り戻せるか。安達監督が彼の特殊能力を活かせるかに注目。
末木裕也:小田切監督によってボックストゥボックスに改造されたプレーメーカー
椎名伸志:応援ボイコット時代も知る最古参。捌けて動けて、人も動かせる。欲しいときには点もとってくれる万能戦士。
安達監督は8番タイプがお気に入りのよう。「中盤の守備?俺たちはボールを持つんだ!」そんな監督の思想が垣間見える(2人の守備が下手とは言っていない)。
小川慶治朗:9番寄りの役割を求められる。本当の姿はサイドアタッカー。
亀田歩夢:10番寄りの役割を求められる。一番輝くのは左のハーフレーン。
古川真人:借りパク成功実直に与えられた役割をこなせる選手。安達監督からの信頼が感じられる。
ウイングコレクションの内、インサイドでもプレーできる選手も含めると、最も競争率が激しいのがこのセクション。古川が昨シーズンから重宝されている事実を見ると、安達監督が最前線に求めているのは後ろ向きのプレーができること。一方シャドーは役割過多になりやすい印象。
- 厳しい前進
攻撃の第一歩、ビルドアップにGKを積極的に参加させるのは監督の方針だろう。ときに最終ラインに加わって、4バックの一員のように振る舞う原田の姿はかつてのエデルソンを思い出す。
田川並にいいキックを持っていると安達監督から評価されていた原田だが、この試合ではその姿を見せることができず。
田川はキック精度の高さに加えて、レンジが広く、左右両足で配給が可能。そこに興国出身者らしい足元の技術からくる、耐プレッシャー性も兼ね備える。
肩を並べるにはハードルが高いが、これだけ積極的にGKにボールを触らせる方針であれば、原田がしばらく使われることになるのか。
3DF+GKの形に加えて、椎名が最終ラインの位置に降りることで、4バックの形を作り出すパターンもあり。ただこの試合、3バック+GKでの前進が難しい(特に前半)と考えた椎名のピッチ内での修正な気がする。ちなみに末木はこの役割をやらなかった。後半は末木に変わって入った谷本駿介が、この役割を負うことによって椎名は解放された。
原田も含めて、3バックのビルドアップは少し苦しい印象を受けた。特に昨シーズン出場が少ない竹内、岡本、原田は多くの場面で試合感の欠如を感じさせることとなってしまった。
ビルドアップの出口が少ないことも課題のひとつ。初期配置で配置的優位を取る(特に442系の相手に対して)というのがこのフォーメーションの大きなメリットのひとつ。
ただこの試合のように相手と噛み合ったときにはそのメリットがなくなる。トレンドの最前線、ヨーロッパでもポジショナルプレーにはマンマークだ!が流行っているように、メリットがなくなるどころかデメリットになる。
ガスペリーニのアタランタは、(オールコート)マンツーマンで一時期猛威を振るっていた。
なので「チームで配置を取り直す」というところまでがセットでの運用が前提となるのだが、少なくともこの試合でチームとしてそういった場面は見られなかったのは今後の課題か。
3バックの両ストッパー(竹内、深沢)は対角WB(布施谷、安光)へ向けて、ダイアゴナルのボールを飛ばすシーンが多く見られた。
これはチームの形として使っていくのだろうけど、もう少し繋いでからではないとWBが高い位置をとる時間が担保できない、アイソレーションにならないのが痛いところ(そもそもお互いのWB同士がにらめっこをしている状況でアイソレーションも何もないのだが…)。
前進できない状況で、裏へのボールもないとなると、相手はラインを下げる理由がない。それでも前半終了間際まで相手DFライン裏への長いボールで前線の選手を走らせなかったのは、安達監督のビルドアップ隊への教育的指導なのか、監督のコメント通り、準備していたことがうまくいかないことによる機能不全なのかは気になるところ。
一方高知はミドルハイからのサイド誘導で、3CBの両ストッパー、WBのところでカターレのビルドアップを窒息させるという素晴らしい徹底ぶり。攻撃はやや遠目からでもしっかりシュートで終わらせる意識も強く(変な奪われ方をしない)、奪われ方、場所が悪いカターレとは対照的で好印象、素直にいいチームだなという感想を持ちました。
The Great Escapeの主人公、亀田にかかる期待とプレッシャーは、ここまで通算9試合1得点の高卒2年目の選手のものとは思えないし、どんなに優秀だろうと若手にいろいろ背負わせるのは個人的には好きじゃない。
彼の場合は90分間プロの試合で強度、クオリティを維持することが目下の課題なのだから、ある程度得意な役割に限定をして使ってあげるなど戦術的配慮が必要。得意な形を引き出してあげられれば今日のようにしっかり結果は出してくれる(その得点力を引き出すために、チームとして前を向かせてあげることが必要だった武颯をうまく使えなかった安達監督…)。
今日の彼には簡単に思いつくだけでも、レーン移動をしてビルドアップの出口になり。列落ちをしてビルドアップ隊、ボールキャリーの一員に。ボールを持てば時間の創出とゾーン2、3での単騎特攻と様々な役割が求められていた。19歳の少年には役割過多、時に無軌道に見えてしまうほどだった。
安達監督はこの試合の出来に納得いっていないということなので、あまり参考にならなさそうな試合ではある(と願っています)が、個人的にはこのまま3バックを続けるのかは疑問。本来安達監督は4バックをやりたい人だと思っていて、選手編成的にも4バックのほうが…と思わなくもない。
色々思うところはありますが、若手の成長期待と監督・チームへの不満、見る人のバランス感覚も問われそうなシーズンだなと実感した特別大会の開幕戦でした。
